専門家コラム

第34回/片付けのきっかけはひとそれぞれ

家事セラピスト

イエノコト株式会社

IENOKOTO

第34回/片付けのきっかけはひとそれぞれ

2016/09/15

これまで、「片付け」についてのコツやヒントをお伝えしてきましたが、読んだ後すぐに「片付け」をした方はどのくらいおられるのでしょう。片付けは、はっきり言って面倒。やりはじめはいいけれどだんだん楽しくなってくる、途中でやめてしまう。というところが本音ではないでしょうか。

 

普段の暮らしの中では、時間が出来たらしよう。とつい先送りになることが多いものですね。と思えば、時間がない時に限ってなぜか手をつけてしまう。でも途中でやめてしまって、余計に散らかってしまったり。テストの前などつい引き出しを整理してしまったりした経験はありませんか。頭の整理のために無意識にやってしまう行動と聞いたこともありますが・・・。

 

私の勤務するリフォーム会社では、新しい暮らしの始まるタイミングに、スタッフが一緒に片付けを行うサービスを実施しています。これまで多くの方にお会いした中で感じるのは、家の中の物が雑然としているということより、持っているものを使いこなせていないという部分です。現代は、たくさんの便利なものやデザインの素敵なものなどがあふれていて、買うこともボタン一つでとっても簡単で、どんどん家に入ってきます。買うスピードとその物を使いこなすスピードが等しいかどうかを考えてみると、圧倒的に後者のスピードが勝ると思われます。そうして自分の日常の中にうまく落としこめずに増えた物に対してストレスを感じたり、捨てなきゃと追いつめられたりと苦しい思いをしている人が多いのではないでしょうか。

 

片付けをして得られるものとは何だろうと考えたとき、パッと浮かぶのは、すっきりする感覚や、身の回りの安全、無駄遣いを防ぐことができる点や、くつろげる空間だと思います。でも、その片付けをする気力はどこからわいてくるのでしょうか。片付けについての知恵も増えたところで、いまだ変化のない暮らしを続けている人へ。どうしたら、片づけをするきっかけをつかんでいただけるだろうか、といつも考えています。

 

私自身は、東日本大震災の時、一瞬で日常が奪われる瞬間の映像を目の当たりにした時に、かけがえのない日常の中にあるストレスなんて自分のやる気や行動でいくらでも変えることができる。変えよう。と思いました。そして小さなところから少しずつ整理をすすめ、以前よりもすっきり出来ていると感じています。その頃から買う時に‘捨てる’ことを併せて考えることができるようになりました。買う際の意識も大切にしてみると、今以上に無駄な物が家に入ってくることは防ぐことができます。

 

朝夕は、これまでの猛暑がうそのように暑さも和らいで、心地いい風が吹く夜も増えてきました。今年は台風が九州よりも関東から北へ多く発生しています。これまでと違う天候が増えているこの頃です。もし天災が起きたとしても少しでも被害を防ぐ視点で、地震、台風、水害などを予想しながら家中を見回してみてはいかがでしょうか。高いところに不要な物を置いていないか、寝ている時に倒れてくるものはないか、廊下のはじについ置いている荷物などはいざという時に通路を塞いだりしないか、など意識してみるとおのずと身の回りの物も片付いてくるように思います。


1級家事セラピスト 山田 江美

イエノコト株式会社 プロフィール

イエノコトは暮らし方をリフォームする会社です。そこにはいつも【家事セラピスト】がいます。【家事セラピスト】はすっきりしたイエで心身すこやかに暮らすことを大切にしています。がんばりすぎず、程よく整った空間。自分らしく居心地の良い空間。いつもの暮らしがワンランク上の心地よさになるようなヒントを見つけにきてください。

⟨家事セラピストとは?⟩
家のモノとコトについてトータルに考え、クライアント(顧客)とともに行動するのが家事セラピストです。料理の専門家、掃除の専門家のように専門分化しない総合的な家事(暮らし)のプロとして、すっきりした暮らしの実現をお手伝いします。