専門家コラム

第2回/失恋した人のことを忘れられないときに…

心理セラピスト・パーソナルコーチ

鐘ヶ江 ゆき

KANEGAE YUKI

第2回/失恋した人のことを忘れられないときに…

2013/12/15

リクエストをいただきました。

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Q:最近失恋しました。その人のことを忘れようと思っても
思い出してしまいなかなか忘れられません。
前に進むヒントがあれば教えてください。
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何かを失ったとき、心にぽっかりと穴が空いたように感じます。
それが身近で、親密な存在であればなおさら
その穴はとてつもなく大きく感じてしまいます。
心は、急激に大きな変化を嫌い、慣れ親しんだ状態に戻ろうとします。
心にぽっかりと空間ができてしまった場合
そこを、慣れ親しんだ感情で埋めようとしてしまうのです。
あるいは、まだ相手とつながっていたいという思いから、
記憶を次々と引っ張り出してしまうこともあります。

いずれにしても、
「早く忘れなきゃ!前に進まなきゃ!」と頑張りすぎず、
「今はまだ、忘れられないんだなー」
「それくらい、大切な存在だったんだなー」と
今の自分の感情を受け止めることから始まります。


喪失体験には痛みが伴います。
その痛みを無視したまま進もうとするのは、
まるで、怪我で血がダラダラ流れているのに
フルマラソンに出ようとするようなものです。

誰だって、痛い思いはしたくありません。
でも、わたしたちは知らず知らずのうちに
傷の手当ではなく、傷を深くするような
頑張り方をしてしまうことがあります。

前に進むためにも、一旦立ち止まって
しっかりと痛みのケアをすること。
それには、安全、安心を感じられる時間や
空間が必要です。

こんな時こそ、すべて一人きりで解決しようとせず
周囲の人を信頼してサポートしてもらうことがカギになります。
ただただ、話を聞いて誰かに受け止めてもらうこと。
今、誰かの顔が思い浮かぶでしょうか?
その人は、きっとあなたの大切な人です。


あなたの力になれることがどれだけ嬉しいか、想像できますか?
アメリカ映画のラブコメディにありがちな、
こんなシーンを思い浮かべてみてください。

しょっちゅう恋に破れている主人公が
「ねぇちょっと聞いてよ!彼、他に女がいたのよー!」
と大泣きして友人に電話するシーン。
友人はというと、慣れた調子で、
「うんうん。今から会議だから、後で聞くわ。」
と言ってるのにおかまいなしでしゃべり続け、
次のシーンでは一緒に夕食を食べている。

映画だからかもしれませんが、ここには深刻なムードがなく
主人公はわんわん泣きながら、バクバクご飯を食べて
泣きやんでちょっと落ち着くと
「あら、ねぇ。向こうの席の、ちょっといい男ね♡」
とウィンクを送る。

とにかく感情を解放すること
誰かに受け止めて(受け流して)もらうこと
そして、自分自身に栄養を与えること。
これができると、強いです!


そんな友人、わたしにはいないわ…と思った方は
感情を扱う専門家の力を借りるのも一つの方法です。
なぜなら、「誰にも言えない」と感じているは
「これを言ったら、きっと罰せられる」
という罪悪感とつながっていることが多いからです。

罪悪感が強く、自分を責めているときは
無意識のうちに、わざわざ自分を責めるような相手に
近づいてしまうこともあります。

そんな時、感情を扱うプロの存在は助けとなるでしょう。
感情は隠しても、抑えこんでもなくなりません。

こんなにつらく寂しい、孤独を感じている今こそ、
必要なのは、誰かとのつながりです。


誰かを信頼して、自分からつながりを求めることで
心に空いた穴を、寂しさではなく、人のぬくもりや
親密感で埋めていくことができます。

失恋は、誰かとつながるチャンス。
そして、改めて自分を大切にするチャンスです。
「忘れられないくらい大好きになった自分」を
どうか責めないで、結果がどうあれ、
精いっぱい愛したことに誇りを持ってください。


この恋で得たものに、心から感謝できる日が必ず来ます。
そうすると、前に進むステップは自然と見えてきます。
「時薬(ときぐすり)」と言われるように
時間が癒してくれる力も信頼してくださいね。

心から、応援しています!

鐘ヶ江 ゆき プロフィール

ハードワークによる燃え尽きと失恋をきっかけに、2009年より本格的に心理学を学び始める。豊かな感受性と共感力を活かしたセラピーには定評があり、約2年間で900件以上のカウンセリング実績を持つ。人と接するときのこだわりは、「どんな時も、その人の真の光を見出す味方であり続けること。」自分の”まんなか”をフルに生きたいあなたを、過去の感情を解放する心理療法と、人が本来持っている力を引き出すコーチング技術を用いて、癒しと成長の両面からサポートします。